全力日記

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【巨人】坂本と大城が新型コロナ陽性発覚。ただ現時点での開幕延期の議論は早すぎる理由。

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プロ野球開幕延期...? 坂本・大城がPCR検査で陽性反応

 

タイトルの通りですが本日(2020年6月3日)にプロ野球読売ジャイアンツの主力選手である坂本勇人選手、大城卓三選手から新型コロナウイルスの陽性反応あったことが判明しました。

 

本日予定されていた西武ライオンズとの練習試合が中止になり、多くの野球ファンが心配している中での会見、発表となりました。

 

TwitterなどのSNS上では、すでに開幕延期を心配する声も聞かれます。

 

しかし、早期開幕を望む野球ファン(巨人ファン)としてではなく、冷静な情報収集をした生物学専攻の大学生として「まだ現時点で開幕延期の議論は早すぎる!」と主張したいと思います。

 

自分なりに根拠も示していますので、温かい目で見て頂けると嬉しいです。

 

 

 

今回の巨人2選手新型コロナ陽性発覚までの流れ

 

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様々なメディアの情報から以上のような流れになります。

 

まず巨人の選手やスタッフ219名を対象に新型コロナウイルスの抗体検査が実施されました。(5/29~5/31)

 

これは都内の大学の研究に役立てるという形で行われ、検査後すぐに出た簡易的な結果では全員が陰性だったとのことです。

 

ただその後の6/2(練習試合再開日)の夕方に坂本・大城の2選手を含む4人から抗体IgGが検出されたことが判明しました。

 

この抗体が発見されたのは①の段階で採取された検体の分析結果で、詳細な分析の結果として「抗体検査陽性」ということになりました。

 

上記の詳細な抗体検査で陽性だった4名のPCR検査を6/2の夕方に行った結果、6/3に坂本・大城の2選手から「新型コロナウイルス陽性」の反応が分かったということです。

※このPCR検査は6/2の練習試合後に行われたもの

 

その結果が判明したことから6/3の練習試合が中止になりました。

 

 

ここまでが今回の大まかな流れになります。

テレビのニュースやネットニュースを断片的に見ていると、開幕延期の可能性がかなり高いようにも感じるかもしれませんが、現時点ではそこまで高くないと思われます。

 

その理由を以下で説明していきます。

 

 

 

「現時点では」開幕延期にはならない可能性が高い理由

 

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今回「今の時点では開幕延期は考えていない」とプロ野球機構も発表していますが、其の根拠は大きく分けて上記3つになります。

 

 

まず第一に、今回の抗体検査の段階で坂本・大城の2選手から検出されたのがIgGという抗体であるということが挙げられます。

 

抗体検査で主に検出される抗体は「IgM」と「IgG」の2種類があり、この2種類にはそれぞれ特徴があります。

 

IgM:ウイルス等の病原に感染後、比較的早い段階で生成される抗体。

   比較的幅広いウイルス等に対応できるようなタイプ。

 

IgG:感染後1~2週間後に生成され、特定の抗原(ウイルス等)に

    対応する、スペシャリストタイプの抗体。

    抗体検査で検出できるのは感染後約2週間以上経ってから。

 

上記の通り、IgGが検出されたということは、坂本・大城の2選手は2週間以上前に新型コロナに感染し、現時点で症状もないことから「治りかけ」のような状態である可能性が高いといえます。

 

つまり練習再開後に、「誰か他の選手からウイルスをもらったばかり」である可能性は非常に低いということになります。

 

 

第二の理由としては2人のPCR検査の結果が「微陽性」と表現されたということです。

 

この「微陽性」という表現はなかなか耳にしない言葉ですが、どういう意味かというと「非常に陰性に近い陽性」ということだそうです。

 

PCR検査では検体内に含まれるウイルスのDNA量を測定して行われます。

 

今回の検査結果では陽性と陰性の基準ギリギリの数値であり、ほんの少しだけ基準値を超えてしまったため、「陽性」という結果になったという形です。

 

このことから言えるのは、「現在この2人は非常に感染力の弱い状態である」ということです。

 

つまり、多少なりともウイルスは持っていたが、チームメイトやスタッフ、対戦相手の西武ライオンズの選手との接触の中で、感染させてしまった可能性は低い。ということが言えるでしょう。

 

 

そして第三に注目したいのは日本野球機構日本プロサッカーリーグと共同で出している基本方針・指針にあります。

 

この方針のなかでは新型コロナの感染者が出た場合は、濃厚接触者を除くメンバー、チームは基本的に警戒を強めながら活動を継続すると記載されています。

 

このことから、今回のように選手の中から感染者が見つかったとしても、リーグの進行に即座に影響がでるという形ではないようです。

 

(ただし濃厚接触者に多くの選手たちが含まれるようになった場合は話が変わってきますが...)

 

 

 

しきりに「現時点で」と記載した理由

 

この記事の基本的なスタンスとしては「現時点では」開幕延期を考えるのは早すぎると思いますよ。というものでした。

 

この「現時点で」という言葉が非常に重要で、今後予定されている他の選手やコーチ、スタッフへのPCR検査で陽性反応が出てしまうと、開幕延期の可能性が高まってしまうと考えられます。

 

今回の場合は抗体検査を事前に行っており、ほぼ全員が「陰性」と発表されていることから、陽性反応が出る可能性は低いといえるでしょう。

 

ただ、抗体検査は以前から「PCR検査ほどの精度はない」と言われていましたし、今回の検査結果によっては、今後の抗体検査の活用における一つの指針のようになるかもしれません。

 

 

なにより、最も理想的な形としては、今後新たな感染者が発見されず、予定通り開幕されることです。

 

それに加えて、今回の巨人軍での抗体検査⇒PCR検査という流れを上手く活用できるようになれば、他のスポーツ界はもちろん、多くのイベントや文化を守ることに繋がるかも知れません。

 

プロ野球が野球というスポーツを通してだけでなく、新たな検査スクリーニング様式の模範となるようなことが出来たら面白いと思いました。

 

最後まで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました!